採用イベントの後に、私は夢を投げ出した。
お寿司を食べながら、今日参加した採用イベントを振り返ってみる。
具体的にどんな採用イベントかというと、芸術行政協会的な組織が主催した採用イベントであり、五つぐらいの芸術組織がこのイベントでは入職志望者との面接を行い即時採用するかを決める。
そのほかに、専門家と業者が経験談をしてくれる芸術行政についてのトークも行われ、まさしくザ・芸術行政漬けのイベントだった。
ちょうど私も音楽修士の授業では芸術行政を少しだけ齧ったことがあって、これもチャンスだと思い、前の会社の社長からの紹介を受けた瞬間このイベントに参加登録して、ダンス会社との面接を行ってきた。
んで、率直に結果から報告しようーー私は芸術行政の就職を諦めることにした。
何があったのか。
まず、今日のイベントに参加する組織は博物館の運営をする会社かダンス会社か、そういう類の会社であった。
ここまで読んで違和感を感じているのなら、君は林檎好きのことを知ってるということだ。
そう。ここまできて、音楽の二文字はどこにも見当たらないーー本イベントに参加している音楽と関わりがある会社は、一つもなかった。
それでも、「せっかく参加料払ったし、ちょっと一つぐらい面接に行ってみようよ」という、「オカンの実際に言ってないけど絶対そう言う」意見を元にして無理矢理にダンスの会社との面接に行ってきたけど、予想通り結果はイマイチだったし、何より私自身もその会社の中に働いている自分を想像できないという現実の再確認ができた。
ただ、無駄に真面目で無駄にプライドが高いし、今までの会社の仕事は向こうから誘ってもらってたから、今日のこの結果でガチ落ち込む自分がいるし、先日に行われた楽団の芸術行政のテストもしくじったことがあって、「早く仕事を見つけたいのに...」と焦っている部分もあって、いよいよと追い詰められている感を感じてきた。
その時に、ちょうど次のトークがもうすぐ始まり、再び「参加料払ったし」という考えで重くなった足を会場に運んで、スマホをいじりながら「芸術、夢と生活」をテーマにしたトークをなんとなーく聞いてた、あまり期待を胸に抱えていない状態で。
そしたら、ある概念に出逢えた。
「夢は案外そんなデガイものじゃない」。
夢を仕事にすることってどういうことなんだろう。
中学からアニメと声優をハマっていた私には、「好きなアーティストさんに自分の作った曲を歌ってもらいたい」という「夢」がある。それは今でも抱え続けている想いで、しかし地理と生活とほかの事情も考えれば、どうやらかなり難しい夢ではあるらしい。
それでも私は、遠回しがしたくなくて、なんとかして音楽と関わりのある仕事を見つけて人脈を築きあげたいと思ったし、「好きなことならとことんやる自分がいるから、好きなことを仕事にしなきゃ」という考えも強くて、それではある意味かなり我儘な新卒(?)になっているということで、履歴書をばら撒くことにしていないのもそのためである。
音楽が好きだから音楽と関わりのある仕事じゃなきゃダメ、とか。
日本語が得意だから日本語の使える職場の方がいい、とか。
でも、夢って結局どういうものなんだろう。
あらゆるアーティストの協力してエキシビションやイベントを主催している講演者はこう言った。
「好きなことを夢のする人が多い時勢になっているし、そのことは間違ってないのだろう。俺の好きなことは、街の中でぼーっとして人間観察することだ。それなら、そんなことを満足にできる生活ができるようになるためにはどうすればいいのか考えるのもありじゃないか?」
私の好きなことは、音楽作りと絵描きで、アニメとスマホゲーム、そしてラブライブとAqoursだ。
そう考えると、実は私の本当の夢は「家の中で好きなだけに好きなことをすること」なんじゃないかな?
「おいおいおいそれは誰も望むことなんだろう!」って言ってる人も少なくはないだろう、同意だ。
誰も好きなだけに好きなことをずっとやっていたいだろう。でもここで考えるべきなのは、「どうすればそれを実行できるか」ということなんじゃないか。
少し余裕がある程度の生活ができるようになるために、平日で仕事をパパッと終わらせて、週末では好きなことを好きなだけにやる。Aqoursと逢田梨香子さんのイベントに行けるように週末は休みできるようにする。
曲もイラストもどんだけ描いても怒られない、推し事をどんだけやっても怒られない、いつか好きなアーティストに曲を歌ってもらえるためにとことん曲を作っても怒られない生活。
それこそが私の本当の夢だったかもしれないし、それを実行できるために私は必ず芸術と関わりのある仕事に着くべきなのか?
「本当に好きだったら、本当の夢だったら、それらと関わりのない仕事をやっていても夢と好きなことを忘れる事はないはずだ」と、講演者が言ってたこの言葉は、たぶん信じていいと思う。
だから「否だ」、と今は答えられるかもしれない。
その結論に辿り着いた瞬間、世界がパッと広くなった気がした。
実はこの採用イベントに参加する前にいつもよりストレスを感じてしまい、昨夜から若干息苦しくなり、今朝で泣きそうになっていてAqoursの曲はしばらく封印だと決めたけど、その中では一番聴きたくない「勇気はどこに?君の胸に!」の歌詞を、今ではもう一個の意味が聞こえてきた。
「ダメならまだ次のチャンスを掴みに
駆け出して汗掻いて 諦めなきゃいいんだ」
「諦めなきゃいいんだ」という言葉に、実は少しストレスを感じてた。
「一体人間はどれほど『次の次』を耐えられるのだろう?諦めないで次の次の次を追いかけては、もし果てがなければどうするの?」っと、考えてたけど、
「夢と関わりのない仕事をしていても、夢を、好きなことを諦めなくていいんだ」、っと。
好きなことをやり続けられる日々があるのならそれでいいんだって。
「信じてあげなよ 君だけのチカラ
君が君であろうとしてるチカラ」
私を構成するのは、私の夢であり私の好きなこと。
作曲も歌も音楽もピアノもイラストも、心から好きだからやり続けてきて、それこそが私で、私のチカラ。
それらを信じてあげてもいいんだって。
「夢は (夢は)
消えない (消えない)
消えない (夢が)」
自分の夢を、自分の好きを甘く見ないで、ということなんだね。
だからこのイベントを終えて、私は決めた。
平日では凡人、週末ではクリエイター、そんな生活できるようになりたい。そんな生活ができるように就活を続けたい。
私は夢を諦めていないし、これからも夢を追いかける。
みんなも暖かい目で見守ってくれたら、嬉しいです。メイ*>ノ_<リ 人
【FINE】