2020年。
真っ暗な空間の中に、大きな一文字幕の前に。
幕に投影された"intermission"の文字を、僕らは見つめながら客席に並んで座っている。
静寂の中で、暗闇の中で、ただひたすら待つ続けている。
何かを囁くように。何かを願うように。何かを捧げるように、ただただ祈りながら待ち続けている。
やがて微弱な光がどこかから差し込み、照らされた人は立ち上がり、客席から離れた。
一人、また一人。立ち上がって、離れて行く。
座ったままの人たちは、こう言っていた。
「僕らの分まで」「見届けてくれ」、っと。何かを叫ぶように。何かを願うように。
真っ暗な空間の中で。ただひたすら待ち続けている。
今年はそんな一年だった。
待ち続ける一年。祈り続ける一年。
胸に咲く白い花を枯れさせないように、精一杯息を吸って、息を吐いた。
枯れさせない。だから動き出そう。
飲み込まれてはいけない。だから動き出そう。
そんな思いで、"Curtain raise intermission"と"手書きメッセージ動画"を形にした。
誰かのため、主役のため、そしてなにより自分のため。
できないことがたくさんあって、その代わりにできるようになったこともたくさんあった。
わかっているつもりで、それでも最後の最後で泣き叫んだ。
「あぁ……これは、誰のせいと言えるのか」
たまには思う。正しさを追求しないで、ただひたすら、自分から生まれた理不尽を貫けられたらいいのにと。それができないから辛いんだ、っと。できたらもっと幸せになれたのに、っと。
理不尽をぶつけたかった。
でもそれは誰のためにもなれないんだ。
だったらこの感情をどうすればいいというのだ。
それでも、だからこそ。おそらく私は恵まれているんだ。処理しきれない感情を受け止めてくれる人たちがいてくれて。
我が友らよ。それだけは絶対に感謝しなければならない。
思ったよりも人を頼っていいんだ。たぶんそれでいいと思う。
花を枯れさせないために。
飲み込まれないように。
真っ暗な空間の中で。ただひたすら待ち続けている。
いつに光が私を照らすのかは、まだわからないのだけれど。
きっといつか、また逢えます。
この一年に、ずっとそこにいてくれたキミたちへ。
【FINE】